ISAO
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まだみぬ世界は彼方と遠く 詮索すべしただいま工事中
2013/12/20
吾が心おちてはひとつ石になる いつかは自由になるのだろう
2013/12/21
過ぎ去ることをどうして大事に出来ようかとふり向けばさされる
2013/12/22
千年の孤独は胎内に融けて 恰(あたか)も自分は溺れている
2013/12/23
唐突な眠気を覚えはにかんで 角砂糖かじれば夢の中
2013/12/26
触れれば迷い落ちるとも 滄海に微木を落す鳥となりうる
2013/12/26
唐突な寂しさが内包した愛には無関係、時計の針。
2013/12/30
あぶらかたぶらあぶらかたぶらと戻らぬ《いま》を唱えて咀嚼兵
2013/12/31
星降りそそげばと海となり静寂 遠く響くは喃語岬
2013/12/31
哀しみを嘆く通りのマンホール入口出口出口入口
2013/12/31
心臓はあふれて静かに呑まれ小さき宇宙はここにあるか
2013/12/31
なんでもない今日から明日に変わる なんでもないわたしからあなたへ
2014/1/1
愛すこと徒然に只々漂い果てにある格子に手をかけ
2014/1/6
あまがみみたいな愛なのですとつぶやいたあなたの枕木の音
2014/1/8
知りすぎた声はかすれる波打ち際に寝ころんだ星を吐き出す
2014/1/10
天籟よりそえば静寂に響く石の声とはふしだらな夢
2014/1/12
仄かに暗く標識はただ嗚咽し拡がり星屑はふるえる
2014/1/13
倖せをわかつごとくに囓りいし林檎の歯形はけもののやう
2014/1/22
あけわたす命などもたざるおもいで向かいし今は無音の人
2014/1/23
サーカスナイト渦巻くピエロ問うてみよ温かな頚の傷みに
2014/2/1
アネモネを見つめ願えばその茎を流れる地の赤こそ真実
2014/2/2
結露する窓に映るは雪の影どこへも行かぬか声なき人
2014/2/8
獰猛なその柔らかい生でふれる白光のなか幼子の手
2014/2/11
ジタバタともがきつつとも身を落とす明日にチンドンが音(ね)の地団駄
2014/2/13
淀みない硬質で三月は不真面目ふきのとう声を荒げた
2014/2/14
静寂響き一冊の本ひらく灰色熊の星々となる
2014/2/28
夜、非接触。ぼくら愛なんていらないとつまずくと盲目坂。
2014/3/4
絶望はあの日に抱かれここにある海の底より這い出るなかれ
2014/3/11
水、波紋、揺れて、震える、[反転する境界線]、電波つながる。
2014/3/24